「劣っていることに我慢ならぬ心の持ち主は、感謝さえ一種の復讐と化し、恩に報いるのも喜びからではなく、恩義を負うことが苦痛だからである」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”There are minds so impatient of inferiority that their gratitude is a species of revenge, and they return benefits, not because recompense is a pleasure, but because obligation is a pain.”
日本語訳
「劣っていることに我慢ならぬ心の持ち主は、感謝さえ一種の復讐と化し、恩に報いるのも喜びからではなく、恩義を負うことが苦痛だからである」
解説
この名言は、自尊心が極端に強い人間の心理を鋭く突いている。ジョンソンは、他人から恩を受けることに屈辱や劣等感を覚える人々が、感謝ではなく対抗心から恩返しをすることがあると指摘している。つまり、恩義に報いる行為が善意や喜びからではなく、自らの負債感を打ち消すための防衛的行動となる場合があるということである。
このような心理は、プライドと劣等感が裏表になっている人間によく見られる。彼らにとって「恩を受けること」は上下関係の認識に直結し、それが屈辱的な不平等感を生み出す。そのため、恩を受けたままでいることに耐えられず、あたかも「貸し借りを帳消しにする」かのように恩返しを急ぐ。
現代社会でも、他人の好意や支援に素直に感謝できず、「借りを返すことで対等に戻ろうとする」態度は珍しくない。ジョンソンのこの言葉は、本当の感謝とは対等性に焦点を当てるのではなく、謙虚さと真心を伴うべきものだという警句として響く。恩義を重荷ではなく、関係を深める機会と捉えることが、人間関係を成熟させる鍵である。
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