「私は、ある政治体制の下で暮らすよりも別の体制の下で暮らすために、半ギニーの価値すら払わないだろう。それは個人の幸福にとって大した意味を持たないからである」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”I would not give half a guinea to live under one form of government other than another. It is of no moment to the happiness of an individual.”
日本語訳
「私は、ある政治体制の下で暮らすよりも別の体制の下で暮らすために、半ギニーの価値すら払わないだろう。それは個人の幸福にとって大した意味を持たないからである」
解説
この言葉は、政治体制の違いが個人の幸福に与える影響は限定的であるという現実的な見解を示している。人々の生活を決定づけるのは政府の形式そのものではなく、日々の人間関係や労働、健康や精神的充足といった身近な要素である。ジョンソンは、抽象的な政治論よりも、個人の具体的な幸福の条件に重きを置いたのである。
18世紀のイギリスは王政・議会政治の形態をめぐる議論が盛んであり、共和制や立憲君主制といった政治体制の優劣が論じられていた。だがジョンソンは、体制そのものが人間の幸福を大きく左右するわけではないとし、政治哲学より日常生活の現実を重視する姿勢を見せた。これは彼の保守的かつ実用主義的な思想を反映している。
現代においても、この言葉は挑発的である。民主制や独裁制など体制の違いが社会全体の自由や権利に影響するのは明らかだが、個人の幸福感という観点から見れば、生活の安定や人間関係、仕事の充実といった要素の方が直接的に作用する。ジョンソンの言葉は、政治制度の抽象的議論に偏るのではなく、幸福の実質的条件を見極めよという教訓を与えているのである。
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