「人はその欲望と享楽との比率によって、裕福にも貧困にもなる」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”Every man is rich or poor according to the proportion between his desires and his enjoyments.”
日本語訳
「人はその欲望と享楽との比率によって、裕福にも貧困にもなる」
解説
この言葉は、真の豊かさは欲望と満足の関係で決まるという思想を表している。多くのものを欲しても得られなければ貧しさを感じ、欲望が少なく享受がそれに見合っていれば、たとえ物質的に乏しくても豊かさを感じられる。つまり、幸福や富は客観的な所有の量ではなく、主観的な欲望の大きさに左右されるという逆説である。
18世紀のイギリスは商業と産業の発展により、富の追求が社会的価値観の中心となりつつあった。そうした風潮の中でジョンソンは、富の絶対量ではなく欲望とのバランスが人の豊かさを決めると説いた。これはストア哲学やキリスト教的節制の伝統とも響き合う思想であり、欲望の制御を人生の知恵として位置づけている。
現代においても、この言葉は大きな意義を持つ。物質的な所有が拡大しても、欲望が膨張し続ければ満足感は得られない。逆に、欲望を抑制し、小さな楽しみを大切にできる人は豊かに生きられる。ミニマリズムや幸福学の考え方も、この原理を現代的に言い換えたものである。ジョンソンの言葉は、心の在り方が富の本質を決めることを鋭く突いているのである。
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