「貧困が悪ではないと示そうとするあらゆる議論は、かえってそれが大いなる悪であることを明白に示している」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”All the arguments which are brought to represent poverty as no evil show it evidently to be a great evil.”
日本語訳
「貧困が悪ではないと示そうとするあらゆる議論は、かえってそれが大いなる悪であることを明白に示している」
解説
この言葉は、貧困を擁護する議論そのものが、実際には貧困の苦しさを証明してしまっているという逆説を表している。もし貧困が本当に問題でないのならば、それを弁護する必要すらないはずである。つまり、貧困を「悪ではない」と強調する試みは、その実、貧困が人間にとって深刻な不幸であることの裏返しなのである。
18世紀のイギリスでは、急速な都市化と社会変動により貧困層が拡大していた。慈善活動や宗教的説教では、貧困を美徳や忍耐の源とする主張が行われたが、ジョンソンはそれを虚飾と見抜いた。彼自身も経済的困難を経験しており、貧困が生活の尊厳や人間性を損なう現実的な苦しみであることを深く理解していた。
現代においても、この言葉は鋭い指摘である。貧困を「心の持ちよう」として軽視する議論は存在するが、実際には教育、健康、社会参加といったあらゆる面で制約を生み出す。ジョンソンの言葉は、貧困の現実を美化せず直視すべきだという強い警告であり、社会的課題としての普遍的な重みを今も持ち続けているのである。
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