「イタリアに行ったことのない人間は、常に劣等感を抱いている」

- 1709年9月18日~1784年12月13日
- イギリス出身
- 詩人、評論家、辞書編纂者、伝記作家
英文
”A man who has not been in Italy, is always conscious of an inferiority.”
日本語訳
「イタリアに行ったことのない人間は、常に劣等感を抱いている」
解説
この言葉は、教養と経験の象徴としてのイタリア旅行を語っている。18世紀ヨーロッパでは、特に英国上流階級の間で「グランド・ツアー」が盛んであり、イタリアは芸術・建築・歴史の宝庫として最も重要な目的地とされていた。ジョンソンのこの言葉には、そうした文化的文脈の中で、イタリア訪問が一種の教養の証とされていた事実が反映されている。
ここで言う「劣等感」とは、知識や美的素養における欠如感であり、他者との比較において自身の未熟を意識する心理を指す。ジョンソンは皮肉を交えて、社会的評価や内面的な満足が、時として実体験に基づく見聞によって決まるという風潮を批判的に捉えているとも読める。
今日でも、「一度は○○へ行くべき」といった言説が存在するように、場所に付随する文化的価値が人間の評価やアイデンティティに影響を与えるという構造は変わらない。ジョンソンのこの言葉は、教養や経験が他者との比較に依存しやすいという人間の心理の盲点を、鋭く突いたものである。
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