「何かが記憶されるとき、どこを見ればよいのか、何を探せばよいのか私たちは分かっていない。事実が学習されたとき、神経系にどのような変化があるのかも分かっていない。これはまったく解決されていない非常に重要な問題である」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

”We do not know where to look, or what to look for, when something is memorized. We do not know what it means, or what change there is in the nervous system, when a fact is learned. This is a very important problem which has not been solved at all.”

日本語訳

「何かが記憶されるとき、どこを見ればよいのか、何を探せばよいのか私たちは分かっていない。事実が学習されたとき、神経系にどのような変化があるのかも分かっていない。これはまったく解決されていない非常に重要な問題である」

解説

この言葉は、記憶と学習の神経科学的基盤に関するファインマンの洞察を示している。彼は物理学者でありながら、生物学や脳科学にも強い関心を抱き、学習や記憶の仕組みが未解明であることを率直に指摘した。ここで強調されているのは、人間の知識体系における「知られていない領域」の広さである。

歴史的に見れば、ファインマンの時代には脳科学はまだ初期段階にあり、シナプス可塑性やニューロン間の結合の強化が学習に関与していることが仮説として提示され始めていた。しかし、記憶が脳内のどこでどのように保持されるのかという根本的な問題は未解決であった。ファインマンはその未解決性を隠すのではなく、むしろ研究の出発点として強調している。

現代においては、神経科学の進歩によってシナプス可塑性や長期増強(LTP)が記憶形成に関与することが分かってきたが、依然として記憶の全体像は不明瞭である。ファインマンの言葉は、学習や意識の根源を探る探究は今も続いており、科学の最前線には常に未知があることを思い出させるものである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「リチャード・P・ファインマン」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る