「今日では、アインシュタインやボーアの研究を通じて、最初はまったく逆説的に見える考えが、詳細にわたって徹底的に分析され、実験的状況に照らして検討されると、実際には逆説ではないことがあると物理学者たちは皆知っている」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

“Today, all physicists know from studying Einstein and Bohr that sometimes an idea which looks completely paradoxical at first, if analyzed to completion in all detail and in experimental situations, may, in fact, not be paradoxical.”

日本語訳

「今日では、アインシュタインやボーアの研究を通じて、最初はまったく逆説的に見える考えが、詳細にわたって徹底的に分析され、実験的状況に照らして検討されると、実際には逆説ではないことがあると物理学者たちは皆知っている」

解説

この言葉は、現代物理学が直面する多くの直感に反する現象が、必ずしも矛盾ではないことを示す。ファインマンは、アインシュタインとボーアという20世紀の物理学を代表する巨人たちが、量子論や相対性理論において「常識に反するが実証される」理論を打ち立てたことを指している。こうした理論は、当初は逆説のように思われたが、理論と実験の緻密な対応によって、実は整合していることが明らかになった

量子もつれや光の粒子性と波動性の両立などは、典型的な例である。「電子が同時に複数の状態にある」というような考え方は、日常の感覚では理解しがたいが、実験によって裏付けられているため、科学的には受け入れられている。このような現象を、逆説だと即断するのではなく、思考と検証を重ねることで新たな理解に至るという科学の姿勢を、ファインマンは評価している。

この名言は、単に物理学に限らず、人間の認識の限界と、それを超えて真理に迫ろうとする科学的方法の価値を象徴している。驚きや違和感を感じることこそが、理解を深める契機になるのだという信念が込められている。

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