「重力についての第一の驚くべき事実は、慣性質量と重力質量の比が、調べた限りどこでも一定であるということである。重力についての第二の驚くべき事実は、それがいかに弱いかということである」

- 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者
英文
”The first amazing fact about gravitation is that the ratio of inertial mass to gravitational mass is constant wherever we have checked it. The second amazing thing about gravitation is how weak it is.”
日本語訳
「重力についての第一の驚くべき事実は、慣性質量と重力質量の比が、調べた限りどこでも一定であるということである。重力についての第二の驚くべき事実は、それがいかに弱いかということである」
解説
この言葉は、重力の特異性を端的に表している。ファインマンはまず、慣性質量と重力質量の比が常に一定であるという事実を指摘する。これはガリレオやニュートン以来の観測に基づくものであり、アインシュタインの一般相対性理論の基礎にもなった重要な性質である。この普遍性は自然界の中でも特異であり、重力の根本的な謎を示している。
次に、重力の「弱さ」が強調されている。電磁気力や強い相互作用、弱い相互作用に比べ、重力は圧倒的に弱い。例えば二つの電子の間に働く電磁的な斥力は、重力による引力の10^40倍以上も強い。この極端な弱さが、素粒子物理学における「階層性の問題」や、統一理論の難しさに直結している。
現代においても、この指摘は物理学の核心を突いている。重力の弱さは日常生活では安定性をもたらすが、宇宙の大規模構造やブラックホール、重力波の研究では決定的な役割を果たす。ファインマンの言葉は、最も身近でありながら最も不可解な力が重力であることを強調し、自然理解の探求がいまだ続いていることを示している。
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