「花の色が昆虫を引き寄せて受粉させるために進化したという事実は興味深い。それは昆虫が色を見ることができることを意味する。そうなると疑問が生じる――私たちが持つこの美的感覚は、下等な生命にも存在するのだろうか」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

”The fact that the colors in the flower have evolved in order to attract insects to pollinate it is interesting; that means insects can see the colors. That adds a question: does this aesthetic sense we have also exist in lower forms of life?”

日本語訳

「花の色が昆虫を引き寄せて受粉させるために進化したという事実は興味深い。それは昆虫が色を見ることができることを意味する。そうなると疑問が生じる――私たちが持つこの美的感覚は、下等な生命にも存在するのだろうか」

解説

この言葉は、進化と美的感覚の関係をめぐる問いかけである。花の鮮やかな色彩が昆虫との共進化によって形成されたことは、生物学的に広く認められている。つまり色彩は人間にとっての美しさというよりも、昆虫にとっての「合図」としての機能を果たしているのである。

ファインマンはそこからさらに一歩進め、美的感覚は人間固有のものか、あるいは生命全般に共有されうるものかを問い直している。昆虫が色を識別し、特定の色に惹かれるという事実は、単なる反応ではなく、ある種の「選好」とみなすこともできる。それが「美的感覚」と呼べるかどうかは哲学的な問題であるが、自然界における感覚の起源を考える上で興味深い視点である。

現代の動物行動学でも、鳥の羽の鮮やかな模様や魚の婚姻色など、生存や繁殖に直結する「美的選好」が存在することが確認されている。ファインマンの言葉は、生命の進化における美の役割を問い直し、人間の美意識が自然界の延長線上にある可能性を示唆している。

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