「量子重力効果の極端な弱さは、いまやいくつかの哲学的問題を提起している。もしかすると自然はここで何か新しいことを伝えようとしているのかもしれない――もしかすると、重力を量子化しようとすべきではないのかもしれない」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

“The extreme weakness of quantum gravitational effects now poses some philosophical problems; maybe nature is trying to tell us something new here: maybe we should not try to quantize gravity.”

日本語訳

「量子重力効果の極端な弱さは、いまやいくつかの哲学的問題を提起している。もしかすると自然はここで何か新しいことを伝えようとしているのかもしれない――もしかすると、重力を量子化しようとすべきではないのかもしれない」

解説

この言葉では、重力の量子化に対する根本的な懐疑が語られている。量子力学と相対性理論は20世紀の物理学を支える二大理論であるが、その融合――特に重力の量子理論化(量子重力)――はいまだに解決されていない。ファインマンはこの未解決の状況に対し、自然が重力を量子化すべきでないと暗に示しているのではないかという思索的な視点を提示している。

ここで注目すべきは、彼が自然の「語りかけ」という比喩を用いて、科学の進展における直観や謙虚さの必要性を強調している点である。物理法則を人間の論理で無理に拡張しようとする前に、自然そのものの挙動に耳を傾けるべきだという態度は、ファインマンの科学観に通底している。

この言葉は現代にも強い示唆を与える。量子重力理論を目指す数多くの理論――超弦理論、ループ量子重力など――があるが、あえて「量子化しない」アプローチも検討すべきではないかという問いを突きつけている。科学的問題が哲学的問題に接近する瞬間を捉えた、極めてファインマンらしい省察である。

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