「本当の問題が存在しないことは、まだ私には明白ではない。本当の問題を定義できないので、問題は存在しないのではないかと思う。しかし、問題が存在しないと確信しているわけでもない」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

”It has not yet become obvious to me that there’s no real problem. I cannot define the real problem; therefore, I suspect there’s no real problem, but I’m not sure there’s no real problem.”

日本語訳

「本当の問題が存在しないことは、まだ私には明白ではない。本当の問題を定義できないので、問題は存在しないのではないかと思う。しかし、問題が存在しないと確信しているわけでもない」

解説

この言葉は、科学における問題意識の曖昧さと謙虚さを表している。ファインマンは、何かを研究する際に「本当の問題」がどこにあるのか分からない状況に直面することがあると認めている。定義できない以上、それは問題ではないのかもしれないが、それでも完全に否定することはできないという姿勢を示している。ここには、未解決性そのものを受け入れる柔軟さが表れている。

背景として、科学史には「問題と見なされていなかったもの」が後に大きな発見へとつながった例が多い。例えば、光の速度の不変性や放射のスペクトル問題は、最初は些細に見えながら相対性理論や量子力学の誕生につながった。ファインマンは、問題意識の有無そのものが揺らぐ状況を、科学の発展に付き物の曖昧さとして捉えていた。

現代においても、この言葉は研究や日常生活に適用できる。ある事柄が本当に問題なのかどうかは、状況や視点によって変わる。ファインマンの言葉は、明確な定義がなくとも思考を止めず、曖昧さを抱えながら探究を続けることが進歩の原動力であることを教えている。

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