「原子核の粒子を結びつけている力を調べることは長い作業であった」

- 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者
英文
“Investigating the forces that hold the nuclear particles together was a long task.”
日本語訳
「原子核の粒子を結びつけている力を調べることは長い作業であった」
解説
この言葉は、原子核の内部に働く強い力(強い相互作用)を解明するための科学的努力が、長い年月を要したことを端的に表している。原子核は陽子と中性子から構成されており、それらを結びつける力は非常に強力でありながら、極めて短い距離にしか作用しない。この力の性質を理解するには、量子力学、場の理論、粒子加速実験などの高度な理論と技術の発展が不可欠であった。
ファインマンが活躍した20世紀半ばは、量子電磁力学(QED)に続いて、強い力を扱う理論(量子色力学、QCD)が構築される過渡期であった。彼自身もファインマン・ダイアグラムという手法で、複雑な相互作用の計算を可能にした貢献者の一人である。「長い作業であった」という言い回しには、理論と実験の反復、直観の否定、そして新たな物理概念の登場への敬意が込められている。
この名言は、科学の発見とは瞬間的な閃きではなく、長期的な努力と蓄積によって成り立つという普遍的な事実を示している。とりわけ目に見えず、直接観測できない「核の力」のような現象に対しては、忍耐強い探究心と柔軟な思考が必要とされたのである。
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