「ラファエロの間では、ある秘密が明かされた。それは、すべての絵が巨匠によるものではなく、いくつかは弟子たちによって描かれたということだった。私はラファエロの作品のほうが好きだった。このことは、自分に芸術を鑑賞する力があるという自信にとって、大きな一撃だった」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

“In the Raphael Room, the secret turned out to be that only some of the paintings were made by the great master; the rest were made by students. I had liked the ones by Raphael. This was a big jab for my self-confidence in my ability to appreciate art.”

日本語訳

「ラファエロの間では、ある秘密が明かされた。それは、すべての絵が巨匠によるものではなく、いくつかは弟子たちによって描かれたということだった。私はラファエロの作品のほうが好きだった。このことは、自分に芸術を鑑賞する力があるという自信にとって、大きな一撃だった」

解説

この言葉は、芸術に対する自己評価の揺らぎを率直に語ったものである。ラファエロのような巨匠の作品と弟子の作品が並ぶ中で、作者を知らずに正確にラファエロの作品を選べたという事実は、美的感覚が理屈でなくとも本物を見分ける力を持つことがありうるという示唆を与えている。

ファインマンはしばしば自分の芸術的素養に自信がないと述べていたが、この体験は「自分にも芸術を理解する直感があったのかもしれない」という意外な発見につながっている。それでも「自信にとっての一撃」と表現しているのは、本物の芸術家がどこにいて、どこからが模倣かという区別が難しいという複雑な感情を物語っている。

現代でも、本物とコピー、オリジナルと大量生産、AIと人間の創作といった境界が曖昧になる中で、自分の感性を信じることの意味が問われている。この名言は、芸術鑑賞が専門知識や権威に頼るものでなく、感じることそのものに価値があるという視点を思い出させてくれる。

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