「もし原子が励起状態にあり光子を放出しようとしている場合、その放出がいつ起こるのかを言うことはできない。原子は任意の時刻に光子を放出するある確率振幅を持っており、我々にできるのは放出の確率を予測することだけであって、未来を正確に予測することはできない」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

”If we have an atom that is in an excited state and so is going to emit a photon, we cannot say when it will emit the photon. It has a certain amplitude to emit the photon at any time, and we can predict only a probability for emission; we cannot predict the future exactly.”

日本語訳

「もし原子が励起状態にあり光子を放出しようとしている場合、その放出がいつ起こるのかを言うことはできない。原子は任意の時刻に光子を放出するある確率振幅を持っており、我々にできるのは放出の確率を予測することだけであって、未来を正確に予測することはできない」

解説

この言葉は、量子力学における確率的本質を明確に示している。原子が光子を放出するタイミングは、古典物理学のように決定論的に予測することはできず、確率的にしか記述できない。ここで言及されている「振幅」とは量子力学における確率振幅を意味し、それを通じて現象の起こる可能性を計算できるが、正確な時刻を指定することは不可能である。

ファインマンは、この確率的な性質こそが量子力学を古典物理学と根本的に区別する要素であると理解していた。彼はしばしば「自然は確率的に振る舞う」という点を強調し、直感的には理解しづらいが、それが実験結果と一致していることを示していた。

現代の量子技術、例えばレーザーや量子暗号、量子コンピュータも、この不確実性を前提に設計されている。ファインマンの言葉は、未来を完全に予測できない不確実性こそが量子世界の特徴であり、それを受け入れることが科学の進歩につながることを教えている。

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