「現在まだ未知の物理学の領域に対する法則を得るには、方程式を推測することが最良の方法かもしれないと私は思う。しかし、もっと若かった頃に私自身もこの方程式の推測を試み、多くの学生がそれを試すのを見てきたが、途方もなく誤った、不可能な方向に進んでしまうことは非常に容易である」

- 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
- アメリカ合衆国出身
- 理論物理学者
英文
”I think equation guessing might be the best method to proceed to obtain the laws for the part of physics which is presently unknown. Yet, when I was much younger, I tried this equation guessing, and I have seen many students try this, but it is very easy to go off in wildly incorrect and impossible directions.”
日本語訳
「現在まだ未知の物理学の領域に対する法則を得るには、方程式を推測することが最良の方法かもしれないと私は思う。しかし、もっと若かった頃に私自身もこの方程式の推測を試み、多くの学生がそれを試すのを見てきたが、途方もなく誤った、不可能な方向に進んでしまうことは非常に容易である」
解説
この言葉は、理論物理学における「方程式の推測」という方法の魅力と危険性を語っている。ファインマンは、自然法則を数式として表現することが物理学の本質である以上、未知の領域を探る際に「方程式を推測する」ことが有効であると認めている。アインシュタインやディラックの成功例はその典型であり、彼らは美しい数学的形式を先に提案し、それが自然現象に一致することを示した。
しかし同時に、ファインマンはその手法の難しさも指摘している。数学的に整った式であっても、自然の実態に即していなければ無意味である。「美しいが現実から乖離した理論」に陥る危険性は大きく、学生や若い研究者が容易に迷走してしまうことを彼は経験的に理解していた。
現代においても、この言葉は有効な警告である。弦理論や量子重力理論のように、まだ実験的検証が難しい分野では「方程式の推測」が盛んに行われている。ファインマンの言葉は、大胆な推測と現実的な検証のバランスこそが科学を前進させる鍵であることを示す普遍的な教訓となっている。
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