「すべての証拠――実験的なもの、そしてわずかではあるが理論的なもの――は、重力に関与するのはエネルギーの内容であることを示している。したがって、物質と反物質がいずれも正のエネルギーを表す以上、重力は区別をしない」

リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
リチャード・P・ファインマン(画像はイメージです)
  • 1918年5月11日~1988年2月15日(69歳没)
  • アメリカ合衆国出身
  • 理論物理学者

英文

”All the evidence, experimental and even a little theoretical, seems to indicate that it is the energy content which is involved in gravitation, and therefore, since matter and antimatter both represent positive energies, gravitation makes no distinction.”

日本語訳

「すべての証拠――実験的なもの、そしてわずかではあるが理論的なもの――は、重力に関与するのはエネルギーの内容であることを示している。したがって、物質と反物質がいずれも正のエネルギーを表す以上、重力は区別をしない」

解説

この言葉は、重力が物質と反物質を区別しない可能性を指摘している。ファインマンは、重力が作用する対象は「質量そのもの」ではなく「エネルギーの総量」であると捉えており、物質も反物質もエネルギー的には正の値を持つため、両者に対して重力は同様に働くはずだと述べている。

背景として、一般相対性理論では重力はエネルギー・運動量テンソルによって記述され、質量だけでなくエネルギーや運動量の分布全体が重力場を生み出す。ファインマンの言葉はその理論的枠組みを踏まえつつ、反物質の重力的挙動が当時は未検証であったことを踏まえている。「重力は区別をしない」という直観的結論は、実験的に確認すべき重要な問いであった。

現代においても、この問題は科学的関心を集め続けている。近年の実験(例:CERN の ALPHA 実験)により、反物質も物質と同様に重力に引かれることが示されつつある。ファインマンの言葉は、理論と実験を結びつけ、自然の普遍的な法則を見極めようとする科学的態度を象徴している。

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