「権力分立の原則の下では、大統領が自らの執行権限をどのように行使するかについて、他の政府機関が問いただすことはできない」

リチャード・ニクソンの名言
リチャード・ニクソンの名言
  • 1913年1月9日~1994年4月22日
  • アメリカ合衆国出身
  • 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
  • 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。

英文

“Under the doctrine of separation of powers, the manner in which the president personally exercises his assigned executive powers is not subject to questioning by another branch of government.”

日本語訳

「権力分立の原則の下では、大統領が自らの執行権限をどのように行使するかについて、他の政府機関が問いただすことはできない」

解説

この発言は、アメリカ合衆国憲法における「三権分立」の理念と、それに基づく大統領権限の独立性を強調したものである。ニクソンは、ウォーターゲート事件を巡って立法・司法両府から圧力を受ける中で、大統領権限は行政府固有のものであり、その行使方法については他の権力から干渉されるべきではないという立場を明確にしていた。

特に注目すべきは、「not subject to questioning by another branch of government(他の政府機関によって問いただされるものではない)」という断定的な主張である。これは、大統領が行政府の長として独立した判断を下すべき存在であり、その意思決定に対する司法的または議会的介入は、憲法上の原則に反するとする見解を示している。しかしこの論理は、同時に権力の濫用を正当化する危険をはらんでおり、非常に議論の多い主張でもある。

現代においても、執行権限の範囲とその透明性、責任追及の正当性は、アメリカ政治の根本的な課題の一つであり続けている。ニクソンのこの発言は、統治機構の均衡と緊張、そして憲法の解釈を巡る深い問題を浮き彫りにする。これは、単なる自己弁護ではなく、大統領制における権力と責任の関係を問う憲法的な論点を内包した名言として位置づけられる。

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