「冷戦は緩和しているのではない。致命的な熱を帯びて燃え続けている。共産主義は眠っていない。いつも通り、陰謀を巡らし、策を弄し、働き、戦っているのだ」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“The Cold War isn’t thawing; it is burning with a deadly heat. Communism isn’t sleeping; it is, as always, plotting, scheming, working, fighting.”
日本語訳
「冷戦は緩和しているのではない。致命的な熱を帯びて燃え続けている。共産主義は眠っていない。いつも通り、陰謀を巡らし、策を弄し、働き、戦っているのだ」
解説
この発言は、冷戦期の緊迫した国際情勢とニクソンの反共主義的立場を端的に表現したものである。冷戦を「冷たい戦争」と捉えることに対し、ニクソンはその裏に潜む実際の危機と闘争の激しさを強調するため、「burning with a deadly heat(致命的な熱を帯びて燃えている)」という表現を用いた。これは核戦争の可能性を含む現実的な脅威を示唆している。
また、「Communism isn’t sleeping(共産主義は眠っていない)」という警句は、ソ連やその同盟国による思想的・軍事的拡張を警戒するアメリカの姿勢を表している。ニクソンにとって共産主義は受動的な存在ではなく、常に能動的かつ攻撃的に自由主義世界に挑戦し続ける敵であった。この視点は、彼が副大統領や大統領として外交政策を形成する際の基盤となっていた。
今日から見ると、この発言は冷戦時代の強硬な安全保障政策とイデオロギー対立の象徴であると同時に、現代における新たな地政学的対立にも通じる教訓となる。見えないところで進行する戦略や思想闘争の危険性を訴えるニクソンの言葉は、ただの過去の記録ではなく、現代においても警戒と認識を促すものとして再評価され得る。
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