「我々が直面する多くの国内問題に対する答えは、増税や歳出拡大ではない。無駄を減らし、成果を上げ、アメリカの個人が自らの地域社会において正当な地位を得られるよう、より多くの自由を与えることだ。そしてまた、州や地方がそれぞれの優先順位に基づいて、自らの課題に自らの方法で対処することが必要なのだ」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“The answer to many of the domestic problems we face is not higher taxes and more spending. It is less waste, more results and greater freedom for the individual American to earn a rightful place in his own community — and for States and localities to address their own needs in their own ways, in the light of their own priorities.”
日本語訳
「我々が直面する多くの国内問題に対する答えは、増税や歳出拡大ではない。無駄を減らし、成果を上げ、アメリカの個人が自らの地域社会において正当な地位を得られるよう、より多くの自由を与えることだ。そしてまた、州や地方がそれぞれの優先順位に基づいて、自らの課題に自らの方法で対処することが必要なのだ」
解説
この発言は、小さな政府、地方分権、そして個人の自立を重視するニクソンの政治哲学を明確に表現したものである。中央政府による増税や一律的な支出増を否定し、行政の効率化と、国民一人ひとりおよび地域の裁量に基づく解決策を重視する姿勢が示されている。特に1970年代初頭の財政問題や都市の荒廃を背景に、ワシントン中心の政治から、現場主義・分権主義への転換を唱える文脈で語られた。
注目すべきは、「greater freedom for the individual American(個人へのより大きな自由)」と「States and localities to address their own needs(州や地方が自らの課題に取り組む)」という二つの主語である。これは、アメリカの強みを中央集権ではなく、個人と地域の多様な創意工夫と責任に求めようとする発想であり、単なる政府の縮小ではなく、機能分担と効率化を目指した制度設計として読むことができる。
この名言は、現代においても、過度な政府依存と、中央による一律的な政策の限界が指摘される中で、いかにして自律性と責任ある自由を制度的に担保するかという問いに深く関係している。ニクソンのこの言葉は、健全な民主主義のためには「統治の分散」と「市民の自由と責任」が不可欠であるという原理を示す、政治思想としての名言である。
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