「私自身の考えでは、歴史的記録のために会話を録音するという決定は、すべての大統領にとって誤りだったと思う。ケネディがそれをしたべきではなかったし、ジョンソンもそうすべきではなかった。そして我々も、それをすべきではなかった」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“My own view is that taping of conversations for historical purposes was a bad decision on the part of all the presidents. I don’t think Kennedy should have done it. I don’t think Johnson should have done it, and I don’t think we should have done it.”
日本語訳
「私自身の考えでは、歴史的記録のために会話を録音するという決定は、すべての大統領にとって誤りだったと思う。ケネディがそれをしたべきではなかったし、ジョンソンもそうすべきではなかった。そして我々も、それをすべきではなかった」
解説
この発言は、ホワイトハウスでの会話録音という慣行に対するニクソンの自己反省と歴史的批評を示す重要な言葉である。ウォーターゲート事件において最大の証拠となったのが、ニクソン自身の発言を記録したホワイトハウステープであり、彼にとってこの録音装置は権力の道具であると同時に、政治生命を絶たれた要因でもあった。
注目すべきは、「we should not have done it(我々もすべきではなかった)」という、自らの過ちを他の大統領たちと並べて語る表現である。ニクソンは、ケネディもジョンソンも会話の録音を行っていたことを踏まえつつ、この慣行そのものが危険であり、プライバシーと信頼の破壊をもたらす結果になったと後悔を示している。ここでは、歴史的記録の重要性と、国家運営の実務との間でのバランスの困難さが浮き彫りになっている。
この名言は、現代における記録の透明性と機密保持、権力の可視化とそのリスクという課題に強く通じる。ニクソンのこの発言は、リーダーの信頼関係を破壊しかねない情報記録のあり方について、後世への警告とも言える歴史的反省であり、政治的透明性の是非を問う普遍的なメッセージを内包している。
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