「さあ友よ、橋を架けよう。黒人アメリカと白人アメリカを隔てる深い溝を越えて、人間の尊厳へと至る橋を架けよう」

- 1913年1月9日~1994年4月22日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、弁護士、第37代アメリカ合衆国大統領
- 外交政策において米中関係の正常化やソ連とのデタントを進めたが、ウォーターゲート事件により辞任した初の大統領としても知られている。冷戦期アメリカ政治の象徴的人物である。
英文
“Let us build bridges, my friends, build bridges to human dignity across that gulf that separates black America from white America.”
日本語訳
「さあ友よ、橋を架けよう。黒人アメリカと白人アメリカを隔てる深い溝を越えて、人間の尊厳へと至る橋を架けよう」
解説
この発言は、アメリカにおける人種間の隔たりを埋め、共通の尊厳に基づいた統合社会を築こうとする、ニクソンの融和的メッセージである。1960年代から70年代にかけて続いていた公民権運動の余波の中で、アメリカ社会はなおも人種的分断と緊張を抱えていた。ニクソンはその現実に対し、争いや責任追及ではなく、橋を架ける=対話と理解による解決を呼びかけたのである。
この言葉の中核は、「bridges to human dignity(人間の尊厳へと至る橋)」という表現である。これは単なる人種間の妥協ではなく、すべての人間が平等な尊厳を持つという価値観に立脚した共存の道を象徴する。また、「that gulf(その深い溝)」という表現は、単に地理的・制度的な隔たりではなく、歴史的・心理的な断絶の深さを認識したうえでの誠実な言葉である。
この名言は、現代においてもなお響く。人種、民族、文化、宗教の違いを超えて共存を模索する社会において、「橋を架ける」という比喩は、対立ではなく理解を選ぶ道の象徴である。ニクソンのこの発言は、分断の時代にあってなお、共通の人間性と尊厳に立ち返るべきだという普遍的な訴えとして、時代を超えて価値を持ち続ける名言である。
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