「偉大な芸術というラクダが、大衆の知性という針の穴を通らなければならない論理的理由はないのです」

レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
  • 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト

英文

”There is no logical reason why the camel of great art should pass through the needle of mob intelligence.”

日本語訳

「偉大な芸術というラクダが、大衆の知性という針の穴を通らなければならない論理的理由はないのです」

解説

この言葉は、芸術と大衆理解の乖離を示す比喩である。レベッカ・ウェストは、芸術作品が必ずしも一般大衆に理解される必要はないと指摘している。ここで「ラクダ」と「針の穴」の比喩は聖書の表現を想起させ、巨大なものが小さな制約を通過する不可能性を強調している。つまり、偉大な芸術は本質的に大衆の平均的な知性に収まらないものである、という逆説的な主張である。

20世紀初頭は、モダニズム芸術や前衛的な文学が登場し、伝統的な美的基準を打ち壊していた。多くの人々にとってそれは理解不能であり、しばしば拒絶の対象となった。ウェストは、芸術は大衆に迎合する必要はなく、むしろ理解不能であることが偉大さの証であると考えていたことがうかがえる。

現代でも、この洞察は響きを持つ。難解な映画、抽象美術、実験的な文学などは依然として賛否を呼び、大衆に広く受け入れられないことが多い。しかし、それが作品の価値を減じるのではなく、芸術の本質が大衆的理解を超越していることを示しているのである。ウェストの言葉は、芸術の評価を「どれだけ多くの人に理解されたか」ではなく、どれだけ深い真実を体現しているかに置くべきだと訴えている。

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