「人間の問題は二重です。あまりに複雑な真理を学ぶことはできず、あまりに単純な真理は忘れてしまうのです」

レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
レベッカ・ウェスト(画像はイメージです)
  • 1892年12月21日~1983年3月15日(90歳没)
  • イギリス出身
  • 作家、評論家、ジャーナリスト、フェミニスト

英文

”The trouble about man is twofold. He cannot learn truths which are too complicated; he forgets truths which are too simple.”

日本語訳

「人間の問題は二重です。あまりに複雑な真理を学ぶことはできず、あまりに単純な真理は忘れてしまうのです」

解説

この言葉は、人間の認識能力の限界と矛盾を鋭く突いている。人は高度に複雑な理論や概念を理解することが難しく、同時に、単純で基本的な真理すら軽視し、忘れ去ってしまう傾向がある。つまり、人間は複雑さと単純さの両極でつまずく存在であるという指摘である。

レベッカ・ウェストが生きた20世紀は、科学技術や思想が急速に進歩し、難解な理論が生み出される一方、最も単純な道徳的真理や社会的価値が軽視される時代であった。例えば、平和や平等といった単純な理念は忘れられがちであり、複雑な政治理論ばかりが重視された。この発言は、そうした状況に対する批判的な洞察を含んでいる。

現代でもこの言葉は共鳴する。人工知能や気候変動のように複雑な問題は理解しにくく、一方で「思いやり」や「責任」といった単純な価値はなおざりにされがちである。ウェストの言葉は、人間が真理を理解する上での根源的な弱点を示し、複雑さと単純さの両方に注意を向ける必要性を教えているのである。

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