「私はキリスト教の牧師としての務めにおいて、心の底から行えないことは何一つしたくない。それを言えば、すべてを言い尽くしたことになる」

ラルフ・ワルド・エマーソンの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1803年5月25日~1882年4月27日
  • アメリカ合衆国出身
  • 哲学者、随筆家、詩人、超越主義運動の指導者

英文

“It is my desire, in the office of a Christian minister, to do nothing which I cannot do with my whole heart. Having said this, I have said all.”

日本語訳

「私はキリスト教の牧師としての務めにおいて、心の底から行えないことは何一つしたくない。それを言えば、すべてを言い尽くしたことになる」

解説

この名言は、誠実な信念に基づいてのみ行動するという、エマーソンの徹底した内面的誠実さを表している。彼はユニテリアン派の牧師であったが、形式的信仰や慣習に違和感を覚え、真に心から納得できることしか語らないという信念を貫いた。ここで述べられている「with my whole heart(心の底から)」とは、魂の全体性をもって臨むという姿勢であり、表面的な義務感や迎合ではなく、内発的な情熱と一致がなければ意味がないという思想である。

この言葉は、彼がやがて牧師職を辞した背景とも一致する。エマーソンは、自身が心から信じることと、教会での慣習や教義との乖離に苦悩し、自らの誠実を保つために職を離れるという決断を下した。この名言はその覚悟を凝縮しており、人間は役割よりも信念に忠実であるべきだという超越主義的倫理観が明確に現れている。

現代においてもこの言葉は、職業倫理や自己実現に関する深い洞察を与える。自らの信条や価値観と合致しない行動を強いられる環境において、「心からできること」のみに集中することの尊さを語っている。エマーソンのこの言葉は、誠実な生き方の本質とは、魂と行動の完全な一致にあることを静かに、しかし確かに示している。

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