「若者たちは、あらゆる欲望を即座に満たすと約束し、勤労を避けたいという自然な傾向をあおる広告技術の悪用によって、脅かされている」

教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
  • 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
  • ポーランド出身
  • ローマ教皇、哲学者、神学者

英文

”Young people are threatened… by the evil use of advertising techniques that stimulate the natural inclination to avoid hard work by promising the immediate satisfaction of every desire.”

日本語訳

「若者たちは、あらゆる欲望を即座に満たすと約束し、勤労を避けたいという自然な傾向をあおる広告技術の悪用によって、脅かされている」

解説

この言葉は、ヨハネ・パウロ2世が現代社会の消費文化と若者への影響について警鐘を鳴らしたものである。広告が本来の情報提供の役割を超えて、人間の弱さにつけ込み、努力や忍耐を軽視させる風潮を生み出していることを批判している。ここで問題視されているのは、欲望を即時に満たすことを正義とする考え方が、若者の人格形成をゆがめる点である。

歴史的背景として、この発言は20世紀後半の大量消費社会とメディアの発展に深く関連している。テレビや雑誌広告、さらには急速に拡大したマーケティング技術は、人々の購買欲や快楽追求を加速させた。ヨハネ・パウロ2世はその動きを単なる経済活動の問題としてではなく、人間の倫理と教育に関わる重大な課題と捉え、特に価値観が形成される若者世代への影響を懸念したのである。

現代においても、この名言はSNS広告やデジタルマーケティングの時代に直結する。ワンクリックで欲望が満たされる世界では、努力や忍耐の価値が薄れやすい。例えば「すぐに成功する」「簡単に稼げる」といったメッセージが氾濫する環境は、若者を短絡的思考に導く危険がある。この言葉は、人間の成長には時間と努力が必要であることを再認識させるものであり、教育や社会の課題として今なお重みを持っている。

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