「あなたがたは司祭であって、社会的または政治的指導者ではない。時代的な諸問題の広大な領域に過度の関心を寄せることで福音に仕えているという幻想に陥ってはならない」

教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
  • 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
  • ポーランド出身
  • ローマ教皇、哲学者、神学者

英文

”You are priests, not social or political leaders. Let us not be under the illusion that we are serving the Gospel through an exaggerated interest in the wide field of temporal problems.”

日本語訳

「あなたがたは司祭であって、社会的または政治的指導者ではない。時代的な諸問題の広大な領域に過度の関心を寄せることで福音に仕えているという幻想に陥ってはならない」

解説

この言葉は、司祭の本来の使命は霊的指導にあるという点を強調している。ヨハネ・パウロ2世は、社会的・政治的な活動に没頭するあまり、教会の本質である信仰と福音宣教が見失われる危険を戒めていた。彼にとって、司祭はまず神との仲介者であり、信仰共同体を導く存在であって、世俗的権力の担い手ではないのである。

この背景には、20世紀後半の政治的混乱や社会運動がある。特にラテンアメリカでは「解放の神学」が広がり、教会が貧困や政治闘争に積極的に関与する流れが強まっていた。ヨハネ・パウロ2世は社会正義の必要性を否定はしなかったが、司祭が政治活動家と化す危険性を懸念し、信仰の本質から逸脱しないよう警告を発したのである。

現代への応用としても、宗教者が社会問題に意見を述べることは意義があるが、その役割が信仰の土台を支えることから外れてはならないという点は重要である。例えば教育や倫理の分野で声を上げることは必要であるが、直接的な権力闘争に巻き込まれることは避けるべきである。この名言は、霊的使命の優先性を見失うなという普遍的な警鐘として今日でも響いている。

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