「あなたがたは私たちの最愛の兄弟であり、ある意味において、私たちの年長の兄弟とも言えるだろう」

教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
  • 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
  • ポーランド出身
  • ローマ教皇、哲学者、神学者

英文

”You are our dearly beloved brothers, and in a certain way, it could be said that you are our elder brothers.”

日本語訳

「あなたがたは私たちの最愛の兄弟であり、ある意味において、私たちの年長の兄弟とも言えるだろう」

解説

この言葉は、ヨハネ・パウロ2世がユダヤ人とキリスト教徒の関係において和解と敬意を表した歴史的な発言である。ここでの「elder brothers(年長の兄弟)」とは、ユダヤ教がキリスト教よりも先に啓示を受けた宗教であるという歴史的事実を踏まえ、信仰の源を共有する者としての敬意を込めて用いられている。

歴史的背景として、カトリック教会は第二バチカン公会議(1962–1965)以降、ユダヤ人に対する差別や迫害の歴史を反省し、対話と友好の道を模索してきた。ヨハネ・パウロ2世はこの流れを積極的に推進し、1986年には教皇として初めてローマのシナゴーグを訪問してこの言葉を語った。それは単なる儀礼ではなく、長い歴史的断絶と敵意に終止符を打つ象徴的な瞬間であった。

現代においても、この名言は異なる宗教・文化間における対話と連帯の重要性を教えている。宗教の違いは対立ではなく、共通の人間性と倫理に基づいた対話の出発点となりうる。この言葉は、和解は過去を否定するのではなく、真実を認め、そこから尊敬と友情を築く勇気によって成し遂げられることを示しているのである。

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