「今日、歴史上初めてローマの司教がイングランドの地を踏む。この美しき大地は、かつて異教世界の遠き辺境であったが、福音の宣教によって、キリストの葡萄園の中でも愛され、恵まれた一部となった」

教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
教皇ヨハネ・パウロ2世(画像はイメージです)
  • 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
  • ポーランド出身
  • ローマ教皇、哲学者、神学者

英文

”Today, for the first time in history, a Bishop of Rome sets foot on English soil. This fair land, once a distant outpost of the pagan world, has become, through the preaching of the Gospel, a beloved and gifted portion of Christ’s vineyard.”

日本語訳

「今日、歴史上初めてローマの司教がイングランドの地を踏む。この美しき大地は、かつて異教世界の遠き辺境であったが、福音の宣教によって、キリストの葡萄園の中でも愛され、恵まれた一部となった」

解説

この言葉は、ヨハネ・パウロ2世が1982年に教皇として初めてイギリスを公式訪問した際の歴史的意義を語ったものである。「ローマの司教」とは教皇自身を指し、その足でイングランドの地に立つことは、カトリックと英国の関係修復の象徴的出来事であった。

イギリスは16世紀にヘンリー8世の離婚問題を契機としてローマ教皇庁と断絶し、国教会(英国国教会)を樹立した歴史を持つ。そのため教皇の訪英は、長い分断の歴史を越えてキリスト教の一致と和解の精神を示す瞬間であった。「キリストの葡萄園」とは、信仰に生きる共同体の象徴的表現であり、かつての異教の地が今や信仰の地として神に捧げられているという希望のメッセージを含んでいる。

現代においても、この名言は歴史の傷を癒やす宗教間対話と信仰の普遍性を象徴する。異なる歴史や伝統を持つ共同体であっても、福音の精神に立ち返れば和解と連帯は可能であるということを、この言葉は雄弁に物語っている。つまり、信仰の広がりは国境や過去の対立を越え、神の愛に導かれる希望の歴史となるという普遍的な真理を伝えているのである。

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