教皇ヨハネ・パウロ2世

- 1920年5月18日~2005年4月2日(84歳没)
- ポーランド出身
- ローマ教皇、哲学者、神学者
人物像と評価
ヨハネ・パウロ2世(John Paul II、本名カロル・ヴォイティワ)は、1978年から2005年まで在位したローマ教皇であり、20世紀末から21世紀初頭にかけて世界に強い影響を与えた宗教指導者である。
彼はポーランド出身として初めて教皇となり、共産主義体制下の東欧において信仰と自由の象徴となった。
特に祖国ポーランドでの活動は民主化運動を鼓舞し、冷戦終結に間接的に寄与したと評価される。
また、異教間対話や人権尊重を強調し、世界各地で積極的に訪問を行った。
一方で、教義においては避妊や女性司祭、同性愛などに厳格な立場を維持し、保守的すぎるとの批判も受けた。
また聖職者による性的虐待問題への対応については不十分と指摘されている。
しかしその強いカリスマ性と世界的行動力により、カトリック教会の存在感を高めた教皇として広く記憶されている。
名言
- 「家庭がどうあるかによって、国家も決まり、そして私たちが生きる世界全体も決まる」
- 「あなたがたは司祭であって、社会的または政治的指導者ではない。時代的な諸問題の広大な領域に過度の関心を寄せることで福音に仕えているという幻想に陥ってはならない」
- 「私は歌と音楽に目がない。これは私のポーランド的な罪である」
- 「これから先、人類が生き延びることができるのは、意識的な選択と意図的な方策によってのみである」
- 「未来は明日ではなく、今日から始まる」
- 「自由が目的を持たず、人々の心に刻まれた法の規範を知ろうとせず、良心の声に耳を傾けないとき、それは人類と社会に背を向ける」
- 「キリストの計り知れない富にあずかりたいと願うペトロの不肖の後継者は、あなたがたの助け、祈り、犠牲を強く必要としており、それを心からへりくだってお願いする」
- 「未知なるものへ踏み出すことを恐れてはならない。私が共にいることを知り、恐れずに一歩を踏み出しなさい。そうすればいかなる害もあなたを襲うことはなく、すべてはとても良きものとなる。完全な信仰と確信をもってこれを行いなさい」
- 「今世紀における人間の残虐さの犠牲者たちの墓地は、さらにもう一つの広大な墓地、すなわち生まれぬまま命を絶たれた者たちの墓地へと広がっている」
- 「結婚とは意志の行為であり、相互の贈与を意味し、それによって配偶者同士は結ばれ、魂の深みにおいて結びつけられる。そして彼らは一つの家庭、すなわち家庭という小さな教会を形づくる」
- 「若者たちは、あらゆる欲望を即座に満たすと約束し、勤労を避けたいという自然な傾向をあおる広告技術の悪用によって、脅かされている」
- 「私は人々と交わりを持ちたいと願っている。それが最も重要なことである」
- 「社会主義諸国の歴史的経験は悲しいことに、集産主義が疎外を解消するのではなく、むしろそれを増大させ、さらに生活必需品の欠乏と経済の非効率を加えることを示している」
- 「母よ、名を挙げてあなたに申し上げたい人々と国々があります。私は彼らを沈黙のうちにあなたに託し、あなたが最もよくご存じの方法でお任せいたします」
- 「独身の誓いとは、キリストと教会に対して自らの言葉を守ることであり、義務であり、司祭の内面的成熟の証であり、それは彼自身の人格的尊厳の表れである」
- 「国際連合は1979年を国際児童年と宣言した。子どもたちは私たちから、軍拡競争という避けられぬ遺産を受け継がねばならないのか」
- 「蔓延する国粋主義は今日、さまざまな形で人間に支配を押しつけ、その攻撃性は誰一人として免れない。すでに私たちの前にある課題は、真の自由ではなく、実際には新しい形の隷属にすぎないものを自由として受け入れてしまう誘惑である」
- 「戦争は人類にとっての敗北である」
- 「戦争はたいてい、それが戦われる理由となった問題を解決せず、したがって最終的には無益であることが証明される」
- 「あなたがたは互いに愛と忠誠、そして結婚における誠実を約束する。この日に私たちが望むのは、これらの言葉があなたがたの生涯全体を貫く原理となり、神の恵みの助けを得て、今日ここで神の前に立てたこの厳粛な誓いを守り続けることである」
- 「人類は再び、自らに問いかけねばならない。死と苦痛の舞台において、そこに残されるのは本来それを防ぐことができ、また防ぐべきであった交渉の場だけであるという、この不条理で常に不正義な戦争という現象について」
- 「絶望に身を委ねてはならない。私たちは復活祭の民であり、ハレルヤこそが私たちの歌である」
- 「世界政治の急激な変化は、アメリカに対し、世界に向けて真に自由で民主的で正義に満ち、人道的な社会の模範となるという、より大きな責任を負わせている」
- 「社会正義は暴力によって達成されることはない。暴力は、それが生み出そうとするものを殺してしまう」
- 「科学は宗教を誤りと迷信から浄化することができ、宗教は科学を偶像化や偽りの絶対化から浄化することができる」
- 「言い訳は嘘よりも悪質で恐ろしい。なぜなら言い訳は、守られた嘘だからである」
- 「喜びに満ちた家庭を保つには、親にも子どもにも多くが求められる。家庭の一人ひとりが、特別な形で互いに仕える者とならねばならない」
- 「私はこの大地に口づけする。それはまるで母の手に接吻するかのように。祖国は私たちの地上の母なのだから。この崇高で困難な時に、祖国の人々と共にいることは、私の務めであると信じている」
- 「今日、歴史上初めてローマの司教がイングランドの地を踏む。この美しき大地は、かつて異教世界の遠き辺境であったが、福音の宣教によって、キリストの葡萄園の中でも愛され、恵まれた一部となった」
- 「自由とは、自分のしたいことをすることではなく、すべきことを行う権利を持つことにある」
- 「暴力と武器では、人間の問題を決して解決することはできない」
- 「あなたがたは私たちの最愛の兄弟であり、ある意味において、私たちの年長の兄弟とも言えるだろう」
- 「愛は決して敗北しない。そして付け加えるならば、アイルランドの歴史がそれを証明している」
- 「快楽、快適さ、自立が偶像とされる社会の中で、家庭生活にとって最大の危機は、人々が心を閉ざし、自己中心的になることである」
- 「今日、教会が直面している問いは、もはや『通りを歩く人が宗教的メッセージを理解できるかどうか』ではなく、いかにしてメディアを活用し、その人に福音のメッセージを力強く届けるかである」