「あなたに問いたい。現在の重みに押し潰されて生きることができるだろうか。過去の記憶もなく、未来や家庭といった何かを築こうとする望みもなく、それでも進み続けられるだろうか。私にとって、これは教会が直面している最も切迫した問題である」

- 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
- アルゼンチン出身
- カトリック教会第266代ローマ教皇
英文
“You tell me: Can you live crushed under the weight of the present? Without a memory of the past and without the desire to look ahead to the future by building something, a future, a family? Can you go on like this? This, to me, is the most urgent problem that the Church is facing.”
日本語訳
「あなたに問いたい。現在の重みに押し潰されて生きることができるだろうか。過去の記憶もなく、未来や家庭といった何かを築こうとする望みもなく、それでも進み続けられるだろうか。私にとって、これは教会が直面している最も切迫した問題である」
解説
この言葉は、過去・現在・未来のつながりの喪失を深刻な問題として指摘している。フランシスコは、ただ「今」に押し潰される生き方は持続不可能であり、人間には歴史を振り返り、未来を築こうとする希望が不可欠であると述べている。ここには、人間存在における記憶・希望・創造の三つの要素が強調されている。
歴史的に見れば、教会は共同体としての記憶を守り、未来への希望を与える役割を果たしてきた。しかし現代では、消費主義や個人主義が広がり、人々が「今」だけにとらわれる傾向が強まっている。その結果、家庭や共同体の弱体化、信仰の継承の難しさが問題となっている。フランシスコはそれを教会の最も緊急の課題と捉えている。
この教えは現代社会への警告でもある。人は単に目の前の問題や享楽に閉じこもるのではなく、過去から学び、未来を築く意志を持つことによって初めて健全に生きられる。教会もまた、信徒に歴史の記憶と未来への希望を伝え、家庭や共同体を再生する使命を担っているのである。
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