「私たちは、自分たちが生きている社会と世界において、他者への愛よりも利己心が増大していることを見てきた。そして善意の人々は、それぞれ自らの力と専門性をもって、他者への愛が自己愛と同等になり、可能であればそれを超えるまで高めるよう努めなければならない。」

教皇フランシスコ(画像はイメージです)
教皇フランシスコ(画像はイメージです)
  • 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
  • アルゼンチン出身
  • カトリック教会第266代ローマ教皇

英文

“We have observed that, in society and the world in which we live, selfishness has increased more than love for others, and that men of good will must work, each with his own strengths and expertise, to ensure that love for others increases until it is equal and possibly exceeds love for oneself.”

日本語訳

「私たちは、自分たちが生きている社会と世界において、他者への愛よりも利己心が増大していることを見てきた。そして善意の人々は、それぞれ自らの力と専門性をもって、他者への愛が自己愛と同等になり、可能であればそれを超えるまで高めるよう努めなければならない。」

解説

この言葉は、現代社会における利己主義の台頭に対する警鐘である。フランシスコは、社会が自己中心的に傾きつつある現状を直視し、そこに必要なのは「善意の人々」が自らの持つ資質や能力を活かして、他者愛を広める努力であると説いている。

キリスト教的には、「隣人を自分のように愛せよ」(マタイ22:39)という戒めに直結する。この言葉は、自己愛を否定するのではなく、それを基準として「それ以上の愛」を追求する道を示すものである。つまり、自己保存の本能に留まらず、共同体のために生きる方向性を強調している。

現代への適用として、格差社会、排外主義、孤立化する都市生活などに対して、この教えは大きな意味を持つ。個々人が持つ専門性や影響力を通して、社会的連帯と相互扶助の精神を広めることが求められる。フランシスコはここで、利己主義に対抗する唯一の道は、愛を実践し続けることであると明言しているのである。

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