「かつての金の子牛の崇拝は、新たに冷酷な姿を得た。それは金銭崇拝と、顔を持たず真に人間的な目的を欠いた経済の独裁という形で現れている」

- 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
- アルゼンチン出身
- カトリック教会第266代ローマ教皇
英文
“The worship of the golden calf of old has found a new and heartless image in the cult of money and the dictatorship of an economy which is faceless and lacking any truly human goal.”
日本語訳
「かつての金の子牛の崇拝は、新たに冷酷な姿を得た。それは金銭崇拝と、顔を持たず真に人間的な目的を欠いた経済の独裁という形で現れている」
解説
この言葉は、聖書における偶像崇拝を現代社会に重ね合わせた警告である。旧約聖書に登場する金の子牛は、神に背を向け、目に見える富を神格化する人間の弱さを象徴する。教皇はその偶像崇拝が現代において「金銭崇拝」と「非人間的な経済体制」として姿を変えたと批判している。すなわち、利益追求のみに支配された経済は、人間性を失い冷酷な独裁へと転じるというのである。
背景には、グローバル経済の中で格差が拡大し、多くの人々が犠牲となっている現実がある。金融市場や資本の論理が優先される一方で、貧困層や弱者の声は顧みられない。この状況を教皇は「顔を持たない経済」と表現し、人間性を欠いた仕組みが偶像崇拝の現代的形態であると断じている。
この名言は、現代社会の倫理的課題に鋭い光を当てる。経済が人間を支えるのではなく、人間が経済の論理に従属する状況は、まさに「独裁」である。教皇の言葉は、経済活動の中心に人間の尊厳を置くべきであるという強い訴えであり、社会正義や持続可能な発展を目指すための指針ともなっている。
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