「キリスト者が復古主義者であり、律法主義者であり、すべてを明確で安全なものにしたいと望むなら、何も見出すことはできない。伝統と過去の記憶は、私たちが神に新たな領域を開く勇気を持つために役立たねばならない」

- 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
- アルゼンチン出身
- カトリック教会第266代ローマ教皇
英文
“If the Christian is a restorationist, a legalist, if he wants everything clear and safe, then he will find nothing. Tradition and memory of the past must help us to have the courage to open up new areas to God.”
日本語訳
「キリスト者が復古主義者であり、律法主義者であり、すべてを明確で安全なものにしたいと望むなら、何も見出すことはできない。伝統と過去の記憶は、私たちが神に新たな領域を開く勇気を持つために役立たねばならない」
解説
この言葉は、信仰の停滞を避け、創造的に未来を切り開く必要性を説いている。復古主義や律法主義に固執し、過去の形式や安全さだけを求めるなら、信仰は生きた力を失う。むしろ伝統は殻ではなく基盤として用いられ、神の新しい働きを受け入れる勇気を生み出すべきだと教皇は述べている。
背景には、カトリック教会が抱える「伝統と刷新」の緊張関係がある。過去を否定するのではなく、伝統を土台にしつつも未来に開かれる信仰を築くことが求められている。第二バチカン公会議以来、教会は現代社会との対話を重視してきたが、この発言はその流れを継承し、信仰を現代的に生きる姿勢を強調している。
この名言は、宗教だけでなく人生や社会全体にも当てはまる。過去の経験や記憶は大切だが、それにしがみつくことで新しい可能性を閉ざしてしまう。むしろ過去を糧に未来を開く勇気が、人間の成長や共同体の発展を導く。したがってこの言葉は、伝統と刷新のバランスをとりながら、神と共に新しい道を切り拓く姿勢を求める普遍的なメッセージである。
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