「今日においても、私たちは兄弟に手を上げている。武器を完成させ、良心は眠りにつき、自らを正当化するために思想を研ぎ澄ませ、まるでそれが当然であるかのように破壊と苦痛と死をまき散らし続けている。暴力と戦争がもたらすものは死だけである」

- 1936年12月17日~2025年4月21日(88歳没)
- アルゼンチン出身
- カトリック教会第266代ローマ教皇
英文
“Even today we raise our hand against our brother… We have perfected our weapons, our conscience has fallen asleep, and we have sharpened our ideas to justify ourselves as if it were normal we continue to sow destruction, pain, death. Violence and war lead only to death.”
日本語訳
「今日においても、私たちは兄弟に手を上げている。武器を完成させ、良心は眠りにつき、自らを正当化するために思想を研ぎ澄ませ、まるでそれが当然であるかのように破壊と苦痛と死をまき散らし続けている。暴力と戦争がもたらすものは死だけである」
解説
この言葉は、現代における暴力と戦争の常態化への深い嘆きを示している。人類は技術を進歩させ、武器を洗練させたが、その一方で良心は麻痺し、破壊を正当化する思想を生み出してきた。その結果、戦争は避けられないものとして受け入れられ、世界中で多くの人々が苦しみ続けている。教皇は、これを人間の道徳的堕落として厳しく批判している。
背景として、20世紀から21世紀にかけての世界は、大規模な戦争や地域紛争を繰り返してきた。核兵器をはじめとする大量破壊兵器の存在、テロリズムや民族対立の激化などがその象徴である。教皇はこれらを「兄弟に手を上げる」行為と捉え、人類全体が連帯を忘れ、互いを敵視することで破滅へ向かう危険を警告している。
この名言は、現代社会への強いメッセージでもある。暴力や戦争を正当化する理屈は数多く存在するが、結局それは破壊と死を拡大するだけである。国際政治においても個人の人間関係においても、対立を力で解決しようとすれば、平和は遠ざかる。教皇の言葉は、暴力を超えて平和と和解を選ぶことこそ人類の唯一の道であると訴えている。
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