「私たちは、確実なものを何ひとつ認めず、自らのエゴと欲望を最高の目標とする相対主義の独裁へと進みつつある」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”We are moving toward a dictatorship of relativism which does not recognize anything as for certain and which has as its highest goal one’s own ego and one’s own desires.”

日本語訳

「私たちは、確実なものを何ひとつ認めず、自らのエゴと欲望を最高の目標とする相対主義の独裁へと進みつつある」

解説

この言葉は、ベネディクト16世が教皇就任直前の説教で語った有名な警告である。彼は現代社会において、絶対的な真理や普遍的な価値を否定し、すべてを相対化する傾向が強まっていると指摘した。その結果、人間は客観的基準を失い、個人の欲望や利己心が行動の基準となる危険があると訴えたのである。

時代背景として、20世紀後半から21世紀初頭にかけて、価値観の多様化とともに「何が真理か」をめぐる基盤が揺らいだ。倫理や宗教的価値が軽視され、個人の自由と欲望が至上とされる風潮に対し、ベネディクト16世は「相対主義の独裁」という強い表現を用いて警鐘を鳴らした。この発言は彼の思想を象徴するものとしてしばしば引用される。

現代に応用するならば、インターネットやSNSの時代においても、情報や意見が氾濫し、真実と虚偽の境界が曖昧になる現象はまさにこの警告を想起させる。多様性を尊重しつつも、普遍的な倫理や人間の尊厳という基準を見失わないことが、社会にとって不可欠であるというメッセージが、この名言には込められている。

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