「カトリックの伝統は、正しい行為を規定する客観的規範は、啓示の内容から切り離しても理性によって到達可能であると主張している」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”The Catholic tradition maintains that the objective norms governing right action are accessible to reason, prescinding from the content of revelation.”
日本語訳
「カトリックの伝統は、正しい行為を規定する客観的規範は、啓示の内容から切り離しても理性によって到達可能であると主張している」
解説
この言葉は、理性と啓示の関係についてのカトリック的理解を示している。信仰は啓示によって深められるが、人間の理性それ自体にも、正しい行為を判断できる能力が備わっているとされる。つまり、倫理の基本原則は、信仰を持たない人間にも理性によって認識可能な普遍性を有している。
歴史的に、この考え方はトマス・アクィナスの自然法思想に根ざしている。自然法は、神が人間の理性に刻んだ普遍的な法であり、啓示がなくとも人間は善を追求し悪を避けるという基本的な指針を理解できるとされた。ベネディクト16世もこの伝統を継承し、理性によって共有できる倫理的基盤を重視している。
現代社会において、この視点は宗教的多元性の中で重要な役割を果たす。啓示に基づかない人々とも対話を可能にするのは、理性に基づいた普遍的倫理である。例えば、人権尊重や正義の追求といった価値は、信仰を持つか否かに関わらず理性的に理解できる。この名言は、信仰と理性の双方を尊重しながら、普遍的倫理の基盤を築く道を提示している。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
「教皇ベネディクト16世」の前後の名言へ
申し込む
0 Comments
最も古い