「思慮深さとは、責任を受け入れることを拒んだり、決断を先延ばしにすることを意味しない。それは、進むべき道を責任をもって熟慮したうえで、共同の決断に取り組むことを意味する」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”Prudence does not mean failing to accept responsibilities and postponing decisions; it means being committed to making joint decisions after pondering responsibly the road to be taken.”
日本語訳
「思慮深さとは、責任を受け入れることを拒んだり、決断を先延ばしにすることを意味しない。それは、進むべき道を責任をもって熟慮したうえで、共同の決断に取り組むことを意味する」
解説
この言葉は、思慮深さの真の意味を説明している。一般的に慎重であることは消極性や先延ばしと混同されがちだが、ここで語られる思慮深さはむしろ責任ある判断と共同体の合意形成を目指す積極的な姿勢である。つまり、真の慎重さは消極的な回避ではなく、熟考を経て勇気を持って決断することにある。
歴史的に、思慮深さ(プルデンティア)は四つの枢要徳の一つとして位置づけられ、政治的リーダーシップや教会の統治において重要視されてきた。ベネディクト16世の言葉は、この古典的徳を現代の意思決定に結びつけ、熟慮と共同性を重視する倫理的指針として再提示している。
現代社会においても、この名言は適用できる。企業経営、政治、宗教共同体において、拙速な決断は危険だが、先延ばしもまた問題を深刻化させる。必要なのは、責任を自覚しつつ共同体と共に進むべき道を決定する姿勢である。この言葉は、思慮深さを単なる慎重さではなく、責任ある行動へと導く積極的な徳として再定義している。
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