「厳密な意味での宗教間対話は、自らの信仰をかっこに入れておかない限り不可能である」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”Interreligious dialogue in the strict sense of the term is not possible without putting one’s own faith into parentheses.”
日本語訳
「厳密な意味での宗教間対話は、自らの信仰をかっこに入れておかない限り不可能である」
解説
この言葉は、宗教間対話の限界と困難さを指摘している。ベネディクト16世は、異なる宗教間の対話が重要である一方で、各宗教がそれぞれ固有の真理主張を持っているため、互いに完全な意味で対等な議論を行うのは難しいと考えていた。もし「厳密な意味での」対話を行おうとするなら、各自が自らの信仰を一時的に棚上げしなければならず、それは現実的には不可能であるという主張である。
ここで強調されるのは、宗教間対話が信仰放棄を前提としてはならないという点である。真の対話は自らの信仰に忠実でありつつ、他者を尊重する姿勢の中で成立する。信仰を「かっこに入れる」ことは、自らのアイデンティティを否定することになり、それは誠実な対話を損なう危険を孕む。
現代においてこの言葉は、宗教多元社会における対話の現実的枠組みを考える上で重要である。宗教間の相互理解は必要不可欠だが、それは信仰を相対化することではなく、むしろ自らの信仰を深く持ちながら他者を尊敬する態度によって成り立つ。ベネディクト16世の指摘は、宗教間対話を幻想的に理想化するのではなく、誠実で現実的な基盤に立たせようとする姿勢を示している。
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