「もし教皇が、自らがもはや肉体的、心理的、霊的にその職務を果たすことができないと明確に認識したならば、辞任する権利があり、場合によっては義務さえもある」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”If a Pope clearly realizes that he is no longer physically, psychologically, and spiritually capable of handling the duties of his office, then he has a right and, under some circumstances, also an obligation to resign.”

日本語訳

「もし教皇が、自らがもはや肉体的、心理的、霊的にその職務を果たすことができないと明確に認識したならば、辞任する権利があり、場合によっては義務さえもある」

解説

この言葉は、教皇職における責任と限界の自覚を示している。カトリック教会において教皇は最高の霊的指導者であるが、それでも人間である以上、老いや病によって職務を全うできなくなる可能性がある。その時、辞任は単なる権利にとどまらず、教会共同体への責任として義務となり得るとされている。

歴史的に見ても、教皇の辞任は極めて稀であった。ベネディクト16世自身が2013年に高齢と体力の衰えを理由に辞任したことは、600年ぶりの歴史的決断であり、この発言はその背景を映し出している。ここには、権威に固執するのではなく、謙遜と誠実さをもって共同体の利益を優先する姿勢が表れている。

現代において、この考えはリーダーシップ全般にも通じる。組織や国家において指導者が自己の限界を認め、時に退く勇気を持つことは、権力の維持よりも重要な徳である。この名言は、責任ある指導者は自らの役割と限界を見極め、共同体のために最善の決断を下すべきという普遍的な教訓を与えている。

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