「私は辞任の文書を書いた。正確にいつかは言えないが、せいぜい二週間前であった。その文書をラテン語で書いたのは、これほど重要なことはラテン語で行うべきだからである。さらに、ラテン語は私がより適切に書ける言語でもある」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”I wrote the text of the resignation. I cannot say with precision when, but at the most two weeks before. I wrote it in Latin because something so important you do in Latin. Furthermore, Latin is a language in which I know well how to write in a more appropriate way.”
日本語訳
「私は辞任の文書を書いた。正確にいつかは言えないが、せいぜい二週間前であった。その文書をラテン語で書いたのは、これほど重要なことはラテン語で行うべきだからである。さらに、ラテン語は私がより適切に書ける言語でもある」
解説
この言葉は、2013年にベネディクト16世が教皇職を辞任した際の経緯を振り返った証言である。彼は自発的に辞任を決断し、その文章をラテン語で記したことを強調している。ラテン語はカトリック教会の公式言語であり、儀礼的・歴史的に最も重みを持つ表現手段であったため、この選択は伝統を重んじる彼らしい決断であった。
歴史的背景として、教皇の辞任は中世以来極めて稀であり、近代ではほとんど前例がなかった。ベネディクト16世は高齢と健康上の理由から辞任を決意し、その正統性と厳粛さを示すために、ラテン語による公式表明を選んだのである。これは全世界に大きな衝撃を与えた出来事であった。
現代への応用として、この言葉は言語と儀式の持つ象徴性を示している。重要な決断や発表は、それにふさわしい形式や言葉で行うべきだという考えは、日常の中でも意味を持つ。形式を整えることで行為の重みが増すという感覚は、今日においても人々の心に響く普遍的な真理である。
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