「私は『私』と『私たち』の両方を用いる。なぜなら多くの事柄において、私は単にヨーゼフ・ラツィンガーに思い浮かんだ考えを表しているのではなく、教会の交わりの共同生活から語っているからである」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”I use both the ‘I’ and the ‘we.’ For on many, many matters, I am not simply expressing ideas that have happened to occur to Joseph Ratzinger, but I am speaking out of the common life of the Church’s communion.”

日本語訳

「私は『私』と『私たち』の両方を用いる。なぜなら多くの事柄において、私は単にヨーゼフ・ラツィンガーに思い浮かんだ考えを表しているのではなく、教会の交わりの共同生活から語っているからである」

解説

この言葉は、個人としての発言と教会共同体の声との関係を明確にしている。神学者や教皇としての発言は、単なる個人的意見の表明ではなく、教会全体の伝統と交わりの中から生まれる証言であることを強調している。「私」と「私たち」を区別しながら用いることで、個人の思索と普遍教会の教えの両方を担っている姿勢が表されている。

歴史的背景として、ベネディクト16世(ヨーゼフ・ラツィンガー)は卓越した神学者でありながら、常に自らの考えを教会の伝統と結びつけてきた。第二バチカン公会議以降の教会において、彼の役割は個人の学説を超えて、教会の共同体的知恵を言葉にすることであった。この発言はその自覚を端的に示している。

現代においても、この姿勢は重要である。個人主義が強調される社会にあって、信仰や思想はしばしば「私の意見」に限定されがちである。しかしこの名言は、共同体の交わりに根ざした言葉の重みを思い起こさせる。例えば、社会的課題に対しても、個人の意見だけでなく、共同体の知恵と経験に基づいた発言が求められる。この言葉は、個と共同体の調和という普遍的な価値を示している。

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