「ドイツには確立され、設備の整ったカトリック教会があるが、そこで働くカトリック信徒の多くは、教会を労働組合のように扱っている。彼らにとって教会は単なる雇用主にすぎない」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”Germany has an established and well-furnished Catholicism, often with employed Catholics who handle the church like a labor union. For them, the church is simply the employer.”

日本語訳

「ドイツには確立され、設備の整ったカトリック教会があるが、そこで働くカトリック信徒の多くは、教会を労働組合のように扱っている。彼らにとって教会は単なる雇用主にすぎない」

解説

この言葉は、現代ドイツにおけるカトリック教会の制度化と世俗化への批判を表している。ベネディクト16世は、母国ドイツの教会が豊かな財政基盤や社会制度を持ちながら、信仰共同体としての霊的使命を見失いつつあることを懸念していた。特に「労働組合のように扱っている」という表現は、教会を霊的共同体ではなく、職場や雇用の場として捉える姿勢を批判している。

「the church is simply the employer」という断定は、信仰と職業意識の乖離を端的に示している。教会に雇われている人々が、信仰者としてではなく、雇用関係の一部としてのみ教会に関わるならば、教会は制度としては維持されても、その霊的生命力は失われてしまう。ここにベネディクト16世の危機意識が表れている。

現代的意義として、この言葉は制度化された宗教が直面する世俗化の問題を示唆している。豊かな財政基盤や組織的整備は一見すると強みであるが、それが信仰の内実を空洞化させる危険がある。ベネディクト16世の警告は、教会が単なる「雇用主」ではなく、神と人とを結びつける霊的共同体であることを再確認する必要性を強調しているのである。

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