「すべての国家は、自国民を重大かつ持続的な人権侵害から、そして自然であれ人為的であれ人道的危機の結果から守るという第一の義務を負っている」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”Every State has the primary duty to protect its own population from grave and sustained violations of human rights, as well as from the consequences of humanitarian crises, whether natural or man-made.”

日本語訳

「すべての国家は、自国民を重大かつ持続的な人権侵害から、そして自然であれ人為的であれ人道的危機の結果から守るという第一の義務を負っている」

解説

この言葉は、国家の存在目的と責任を人権保護に置くべきだという原則を示している。ベネディクト16世は、国家は単に領土や権力を維持するための組織ではなく、まず自国民の生命と尊厳を守る義務を持つことを強調している。これは国際法やカトリック社会教説における「責任ある主権」の理念と重なる。

特に重要なのは、「grave and sustained violations of human rights」という表現が示すように、国家が人権侵害を放置することはその正統性を損なうという視点である。また、「natural or man-made」という言葉は、自然災害だけでなく戦争や政治的失策による人為的危機も含め、あらゆる形の人道的脅威に国家が責任を負うことを明確にしている。

現代的応用として、この言葉は国際社会の介入や連帯の根拠ともなる。もし国家が自国民を守る義務を果たさない場合、国際社会が人道的介入を行う正当性が生まれる。難民危機、民族紛争、自然災害後の支援などにおいて、国家の責任と国際的協力の両方が不可欠である。ベネディクト16世の言葉は、国家の道徳的義務を超えて、普遍的な人間の尊厳を守るための指針を提示している。

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