「芸術は根源的なものである。科学において表現される理性だけでは、人間にとって現実への完全な答えとはなり得ないし、人間が表現できるもの、表現したいもの、表現しなければならないものすべてを語ることはできない。神はこれを人間の中に備えられたのだと思う。芸術は科学と並んで、神が人間に与えた最高の贈り物である」

教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
教皇ベネディクト16世(画像はイメージです)
  • 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
  • ドイツ出身
  • ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿

英文

”Art is elemental. Reason alone as it’s expressed in the sciences can’t be man’s complete answer to reality, and it can’t express everything that man can, wants to, and has to express. I think God built this into man. Art along with science is the highest gift God has given him.”

日本語訳

「芸術は根源的なものである。科学において表現される理性だけでは、人間にとって現実への完全な答えとはなり得ないし、人間が表現できるもの、表現したいもの、表現しなければならないものすべてを語ることはできない。神はこれを人間の中に備えられたのだと思う。芸術は科学と並んで、神が人間に与えた最高の贈り物である」

解説

この言葉は、人間の表現の限界と可能性についての深い洞察を示している。科学や理性は現実を説明する強力な手段であるが、それだけでは人間の全体性を捉えることはできない。芸術は言葉や数式を超えた表現を可能にし、人間の感情や直観、存在の奥深さを表す役割を担う。

歴史的背景として、ベネディクト16世は神学者でありながら、芸術と美を神への道として重視していた。典礼における音楽や建築、美術の役割を繰り返し強調し、理性と美、信仰と芸術が調和するところに人間の完成があると説いた。この考えは、近代以降理性万能主義に傾きがちな文化への警告でもある。

現代においてもこの視点は重要である。科学技術が進歩する一方で、人間が芸術に触れることは精神的バランスと人間性の回復に不可欠である。文学、音楽、絵画、映画といった芸術は、人間が「なぜ生きるのか」という問いに答える手がかりを与える。理性と芸術を両輪とすることこそが、神の意図に即した人間の生き方だといえるのである。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「教皇ベネディクト16世」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る