「正しい意味でのライシテ(政教分離)は、宗教の自由を保障する。国家は宗教を押し付けるのではなく、宗教に市民社会に対する責任を果たす場を与え、したがって宗教が社会を築き上げる要素となることを認める」

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
英文
”A just laicism allows religious freedom. The state does not impose religion but rather gives space to religions with a responsibility toward civil society, and therefore it allows these religions to be factors in building up society.”
日本語訳
「正しい意味でのライシテ(政教分離)は、宗教の自由を保障する。国家は宗教を押し付けるのではなく、宗教に市民社会に対する責任を果たす場を与え、したがって宗教が社会を築き上げる要素となることを認める」
解説
この言葉は、国家と宗教の関係における健全な政教分離の理解を示している。ベネディクト16世は、国家が特定の宗教を強制するのではなく、宗教が自由に活動できる環境を保障することこそが、真のライシテの姿であると強調している。宗教は社会に閉じ込められるべきではなく、公共善の形成に寄与する役割を持つという考えである。
「gives space to religions with a responsibility toward civil society」という表現は、宗教の自由が社会的責任と結びついていることを示す。宗教は単に個人の信条として存在するのではなく、教育、福祉、文化、倫理の面で社会に貢献する使命を担う。そのため、国家が宗教に活動の場を与えることは、社会全体にとって有益であるとされる。
現代的意義として、この言葉は世俗主義と信仰のバランスを考える上で重要である。過度な世俗主義は宗教を公的空間から排除し、逆に国家による宗教の押し付けは信仰の自由を奪う。ベネディクト16世の視点は、この両極を避け、宗教の自由を尊重しつつ、その社会的役割を認める「公正なライシテ」の必要性を訴えているのである。
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