「それを歓迎するにせよ嘆くにせよ、現代を最も確実かつ正確に特徴づけているのは、技術による人間世界への抗しがたい侵入である。機械化は潮のように地上のあらゆる場所と社会活動のすべての形態に押し寄せている」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“Whether one welcomes or deplores it, nothing is more surely and exactly characteristic of modern times than the irresistible invasion of the human world by technology. Mechanism invading like a tide all the places of the earth and all forms of social activity.”
日本語訳
「それを歓迎するにせよ嘆くにせよ、現代を最も確実かつ正確に特徴づけているのは、技術による人間世界への抗しがたい侵入である。機械化は潮のように地上のあらゆる場所と社会活動のすべての形態に押し寄せている」
解説
この言葉は、技術の不可避的な浸透を現代の本質と見抜いた洞察である。テイヤール・ド・シャルダンは進化を科学的にも神学的にも捉えようとした思想家であり、ここでは技術を単なる道具ではなく、人類の生存と発展に深く関わる力として認識している。たとえ人々がそれを歓迎しようが、恐れようが、技術の進出は止められないという視点が強調されている。
この背景には、20世紀初頭の急速な産業化と技術革新がある。鉄道や電気、通信、そして兵器の進歩は人間社会のあらゆる面を変容させた。シャルダンはその流れを「潮」に喩え、人間の意志を超えて拡大し続ける技術の浸透力を描写している。この認識は、技術を善悪の価値判断に先立つ、時代の必然的な現象として位置づけている。
現代においては、この言葉の意味はさらに深まっている。人工知能、インターネット、バイオテクノロジーといった技術は、人類の生活や価値観を根本的に変えつつある。ここで強調されるべきは、技術そのものを拒否するのではなく、その進展をどう受け止め、社会的・倫理的に統御するかという課題である。この名言は、技術の不可避性を見据えたうえで、人類がそれとどう共存していくかを問う強いメッセージとなっている。
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