「キリストが進化の終極であり推進力であると言うこと、また彼が『進化させる者』として現れると言うことは、彼が進化の全過程の中で、そしてそれを通して到達可能となることを暗に認めることである」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“To say that Christ is the term and motive force of evolution, to say that he manifests himself as ‘evolver,’ is implicitly to recognize that he becomes attainable in and through the whole process of evolution.”

日本語訳

「キリストが進化の終極であり推進力であると言うこと、また彼が『進化させる者』として現れると言うことは、彼が進化の全過程の中で、そしてそれを通して到達可能となることを暗に認めることである」

解説

この言葉は、テイヤール・ド・シャルダンの思想の核心である進化とキリストの結合を示している。彼にとって進化は単なる生物学的過程ではなく、宇宙と人類が神に収斂していく壮大な流れであり、その終極点(オメガ点)がキリストであった。したがって、キリストは進化の「目的」であると同時に「推進力」としても働いている。

背景には、キリストを歴史上の一時的存在にとどめず、宇宙的・普遍的原理として理解しようとするシャルダンの神学的革新がある。進化そのものがキリストの顕現であり、そこにおいて人間は神を見いだすことができる。この視点は、科学的進化論とキリスト教信仰を調和させる試みであり、当時の神学界では物議を醸した。

現代的に考えると、この言葉は宗教と科学の対話において大きな意味を持つ。進化を信仰の脅威としてではなく、神の現れを理解する道として肯定的に捉える姿勢は、今日でも示唆的である。人類の歴史や宇宙の歩みを通じてキリストが「到達可能」とされる視点は、信仰を宇宙的規模で捉える試みとして注目される。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?

「テイヤール」の前後の名言へ


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最も新しい 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る