「長く生きれば生きるほど、真の安らぎとは『自己を放棄する』ことにあると感じる。すなわち、一般的な意味で『幸福』であるか『不幸』であるかは全く重要ではないと心に決めることである。」

- 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
- フランス出身
- イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者
英文
“The longer I live, the more I feel that true repose consists in ‘renouncing’ one’s own self, by which I mean making up one’s mind to admit that there is no importance whatever in being ‘happy’ or ‘unhappy’ in the usual meaning of the words.”
日本語訳
「長く生きれば生きるほど、真の安らぎとは『自己を放棄する』ことにあると感じる。すなわち、一般的な意味で『幸福』であるか『不幸』であるかは全く重要ではないと心に決めることである。」
解説
この言葉は、テイヤール・ド・シャルダンが語る内的平安の源泉を示している。彼にとって「安らぎ」とは快楽や苦痛の有無に依存するものではなく、むしろ自己中心性を手放すことにある。外的な幸福や不幸に一喜一憂するのではなく、それらを相対化することで人はより大きな平安に至る。
歴史的背景として、キリスト教の伝統における「自己放棄(self-renunciation)」の思想は修道生活や神秘主義の中心にあり、神との合一を志す道として重視されてきた。テイヤールはこれを進化論的・宇宙的な視野に接続し、人間存在の究極的安らぎが個人的幸福を超えたところにあると説く。
現代的に解釈すれば、これは自己超越の重要性を語るものである。物質的な豊かさや感情的満足を追い求めるのではなく、より大きな目的や共同体、あるいは超越的価値に自己を委ねることが、真の安らぎをもたらすのだと示唆している。
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