「宗教と科学は、一つの完全な知の営みの結合した二つの側面であり、それのみが進化の過去と未来を抱きとめ、それを観想し、測定し、成就させることができる」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Religion and science are the two conjugated faces or phases of one and the same complete act of knowledge – the only one which can embrace the past and future of evolution and so contemplate, measure and fulfil them.”

日本語訳

「宗教と科学は、一つの完全な知の営みの結合した二つの側面であり、それのみが進化の過去と未来を抱きとめ、それを観想し、測定し、成就させることができる」

解説

この言葉は、宗教と科学を対立するものではなく、同一の知の営みの異なる局面として捉える立場を示している。テイヤール・ド・シャルダンはカトリックの神学者でありながら古生物学者でもあり、進化論と信仰を統合的に理解しようとした人物である。この名言には、進化という壮大な歴史を理解するには、科学の分析力だけでなく宗教の意味付けの力も必要であるという思想が表れている。

時代背景として、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、ダーウィン進化論の受容と宗教界の葛藤が続いていた。シャルダンはその狭間に立ち、信仰と科学の統合を試みた。そのため彼の思想は、教会から批判を受ける一方で、科学者や思想家からは革新的と評価された。この言葉は、その調和の思想を簡潔に示すものである。

現代においても、この考えは意味を持つ。人工知能や遺伝子工学など科学が進歩する一方で、倫理的・哲学的な問いが必然的に生じている。科学が事実を明らかにしても、人間は意味を必要とする存在であり、そこに宗教や哲学が関与する。この名言は、科学と宗教を対話させ、進化する人類の未来を包括的に考えるべきだという指針として読むことができる。

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