「動物学的に見れば、人間は今日、自然界においてほとんど孤立した存在である。しかし揺籃期においては、彼はそれほど孤立してはいなかった」

ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
ピエール・テイヤール・ド・シャルダン(画像はイメージです)
  • 1881年5月1日~1955年4月10日(73歳没)
  • フランス出身
  • イエズス会士、神学者、古生物学者、哲学者

英文

“Regarded zoologically, man is today an almost isolated figure in nature. In his cradle, he was less isolated.”

日本語訳

「動物学的に見れば、人間は今日、自然界においてほとんど孤立した存在である。しかし揺籃期においては、彼はそれほど孤立してはいなかった」

解説

この名言は、人間の進化的特異性と孤立性を指摘している。現代の人類は高度な意識と文化を持ち、他の生物から大きく隔たった存在となった。しかし、進化の初期段階――「揺籃期」においては、人類は他の霊長類や動物とより近しい存在であり、自然界の連続性の中にあった。

背景には、テイヤール・ド・シャルダンの進化論的視点がある。人間は進化の産物であると同時に、その進化の流れの中で特異な位置に立つ。今日の孤立性は、人間が「反省的知性」を獲得したことによるものであり、それが彼を他の生物から引き離した。しかし同時に、この孤立は人間の進化的使命――自然界の中での責任と役割――を強調するものでもある。

現代的に考えれば、この言葉は人間と自然の断絶の問題を示唆する。科学技術や文明の発展によって、人類は他の生物から遠ざかったが、環境問題や生態系の危機は、私たちが依然として自然の一部であることを思い出させる。テイヤールの言葉は、人間が孤立した存在であると同時に、進化の連続の中で生まれた存在であるという二重の真理を示している。

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